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『自転車』を主題に日本画制作をする作家Blog
来月7月6日(水)から12日(火)まで日本橋三越で開催される「Wave2011華波の会」
今年も三越本館6階美術画廊で行われる運びとなりました。
※出品作家によるギャラリートークは7月9日(土)の14時より

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今年新たに2名の作家も参加して下さった関係、各作家の展示作品は各2点となっています。
新たな方を向かえて、今年の華波の会は一層絵画の多面性を見ることが出来ると思います。
昨今暑い日が続きますが、7月の初旬、お近くにお越しの際は是非ご高覧頂ければ幸いです。

井上越道


作家来場日(予定)
7月6日(初日)14時30頃から19時頃まで
7月9日(トークショー)10時からトーク終了まで
7月11日(月)14時30頃から19時頃まで

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5月17日まで長野小布施で開催されていた「ShinPA展」が佐藤美術館で開催されます。
今回は震災のチャリティー小作品も販売され、7月16日にはトークショーも開催されます。


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(本音トーク・・・って何話すのでしょう??)

7月15日(金)から24日(日)まで開催されます。
※19日は休館
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄り頂ければ幸いです。


さて今回巡回させて頂く作品が手元の戻ってきています。
今回のShinPA!!!!!展に展示出品した作品「空」

改めて見ると気になる点、いや・・・此で良いとはとても思えない作品です。

確か・・・とても悩んでいた時期。
(こんな時、過去のブログで記載していた心境を読み返す事が為になります(-_-)

展示される「空」は限定された中での表現を求めています。
「黒一色」
「限りない無色」
「色を使わない」

かなりの限定された中で、どう表現するか?

これを描いていた時、何度「色を使いたいヽ(´Д`;)ノと思った事か・・・

格闘技で言えばムエタイで蹴りを使わない。
柔道で押さえ込みをしない。
ボクシングで左しか使わない。


ルール通りなら何時通りの試合運び。

その中で「自分限定」のルールで戦った作品。
今見れば決して良い作品では無い。
一見無様とも言えるかも知れません。
しかし課題を科して試行錯誤の後が垣間見える「空」は大切な作品になりました。

面白い事に、この様な(アホの)事をした後だからこそ、その後に描けた作品があります。
「自分限定」をして、解除した後に見えるもの。
これは色々と試した時間で作られた私だけの財産です。

改めて「思考し表現し作り続ける者」
その存在のみが「作家」と語り続ける孤高の存在ではないでしょうか?


最後に、私の好きな作家である方が言われた大切な事。
その方は世論でも評価され、今後益々大成される作家です。
その先生の作品を前に「先生は今後もこの画風で続けるのですか?」
そう問いました。

齢50も近く、完成された画風。
完成度の高さは比類無き存在です。

その先生は┐(´д`)┌の後
「まだまだ完成に至っている訳ないじゃん!」
「明日にも新しい表現が見つかれば試すに決まっているじゃん!!」


目から鱗。
先生の地位から多分世論がそれを認めない。
其れを卓袱台引っ繰り返しても新たな表現を求める姿が、私が求める「格好良い作家」
まだ自己に満足せず、上を目指している姿に「そうでなくては!!」
と安心し、齢50を越えてもこう言う作家に成りたいと心新たにしたものです。

50歳まで自分の好きに作り続ける事の出来る作家は少ないと思います。
其れをしないでいる「ぬるま湯の作家もどき」も多く見ています。
(まぁ私には関係有りませんが・・・)

今を大切に発表する場を与えられてこその作家。
今後50歳を越えても「格好良い作家」「最高の作品」を作れるよう、今後も皆様の御高覧を頂ける作家で有りたいと思います。


梅雨の足音が聞こえて来るこの頃。
日本画制作には「湿気」との戦い。
自転車好きには「錆」との戦いの時期でもあります。

さて何時もギリギリの作品納期。
相変わらず締め切りは「ゴール前のスプリント勝負」

・・・では有りますが今回の作品は納期5日前には9分9厘完成していました。
ではその5日間、何をしていたのか?

「只観ている」

残りの1厘を埋める行程に5日。
本当に時間の使い方の「贅沢さ」をかみ締めています。
※脇では小作などのアイデアはチマチマ描いていますが・・・

さて改めて考える、この「制作の間」
少し専門的になりますが、日本画材の絵具は「顔料」
其れはチューブから捻り出す訳では無く、粉状の物を自分で絵具する作業があります。

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愛用の目薬は「サンテ40」
 
実際描く時は当たり前の行為ですが、慣れない方からは「面倒な」行為に見えるようです。
この印刷技術が発展している時代で、面倒な行為を繰り返し行い画面を構築していく。

その間の時間をどの様に捉えるか?

手間が面倒
乾燥まで筆が進めない
道具の手入れが面倒くさい
・・・等々


それは大変良く分かるのですが、時間が少ない(忙しい)=画面を見る時間として比例している事に気付きます。
忙しい中で描く行為は「間」が余りにも少ない。
間のない制作工程は余分が無いため「どうすべきか?」の選択肢が狭まることになります。
作画中に面白いものを考えている私は、どうしても制作途中に迷走する事が度々あります。
この様な時「間」がない場合、新たな心見「半歩先の表現」がどうしても閃きません。
結局「いつも同じ」行程を進めるか、90%程度の歩み寄りが精々と言った所になります。

現実的な問題として時間=金銭との関係がありますが、「間」の無い人生は本当に幸福か?
制作進行が面白くない時(忙しい)によく考えます。
「忙しい!忙しい!!」と宣い、周りには「時間が無い」と言い苛つき、自身を責め周りを不幸にしている人がいます。
その様な方を見ると「この人は良い絵は描けないだろうな」と不憫な思いに捕らわれます。
自転車旅行でも、道を間違える事があります。
でも「まぁ目的地に着けばいいか?」と気楽な思考は、本当に制作工程と結びつきます。

そんな寄り道出来る心の「間」
私が今大切にできる「間」は、画面を通して今の人達に一番共有にして欲しい事です。


制作の合間に息抜きでの読書は欠かせません。
でも相変わらず本屋に足を運んでは「ビビッ!!」と来た本を手に取っては読んでいます。

その中で最近面白かったリンゴ農家の本「奇跡のリンゴ」


「プロフェッショナル・仕事の流儀」で紹介された木村さんの自伝です。

日本人はこの様な苦労話、その中からの成功が生まれる過程が好きな人達だと思います。
(豊臣秀吉など代表格ですね)
8年間苦労にのたうち回って、一つの物を作り上げる。
その過程は成る程!! 感動のストーリー。・゚・(ノД`)・゚・。

・・・で終わるのは10/100点と言った所でしょうか?
そこから人間の在り方、自然との共存など主題を見つける事が出来れば・・・
50/100点ですかね?

実値や経験が伴わない読書は、せいぜい50点。
私は何時もそう考えています。
(こんな事を考えたのは14歳の時からの課題です)

この本を読んで、まず思いを馳せたのが「自分との対比」
物を作る事、世論との価値感の違い悩み、そして受け入れられるまでの過程。
作画制作にとても似ていると思います。

人がやらない、挑戦しない事をする。
先人の半歩進むことの、何と高く険しい道のりか・・・

無論一人では進めない。
多くの人達の筆舌に尽くしがたい協力の中、初めて「成功」と言う果実が出来る事を、改めて感じる事が出来る本です。
(汲み取るにはそれ相応の経験が必要です)


さてかな~~り昔、専門学校の頃でしょうか?

「井上さんの言う読書の100点になるにはどうしたら良いのですか?」

そんな事を聞かれた事がありました。


その時は確かこう言ったはず。

読むだけなら10点、猿でも出来ること。
読んで自身と重ねたら30点。
そこから何か生かせないかと考えるなら50点。
本当に生かす事が出来たなら80点

・・・で、生かした経験を伝えたなら100点でしょうね。っと。


何様でしょうかね?21歳の若造が(;・∀・)

でもこの考えは今でも変わりなく、何とか80点になれば良いなと思っています。
多分100点は更に多くの経験を積んだ時に頂ける点数ではないかと?


まぁ先ずは現在の作品を100点にする事が先決ですが・・・
日々最高を求めての暗中模索の日々では、誰も100点の描き方を教えてくれませんがね。



今週開催されていた「爽風会」
会期中には雨天にも係わらず、多くの方々のご来場ありがとうございました。
また差し入れをして頂いた方々、美味しいお菓子は制作中の良き友。
コーヒー片手に美味しく頂いています。


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初日は自転車通勤

今回の三人展。
共に出展した浅羽雅子さん、杵島洋人さんとも作品に対する姿勢は大変勉強になりました。
そして開催に際し、ご尽力を頂いたスルガ台画廊様には感謝の一言。

また来場して頂いた方々から多くのご指摘の中には幾つか発見もありました。
(お会い出来なかった方は本当に残念でした)
特に外国の方からの視点は「そう言う側面もあるか・・・」と、改めて文化圏の違いを感じると共に、自転車をモチーフとしている作家として、一度成らずもその様な場所での展示に興味が沸いてきます。

作品を作り続け、展示をして観てもらう。
「作家」として今後も死ぬまで何度も繰り返すことでしょう。

日常は金銭面では少々難儀もしますが、日々の生活は楽しく作品に向かう時間は至福です。
起床して、アトリエで昨日の進行具合を確かめる事から始まる一日。
その後コーヒーを入れ、時間をかけ朝食、落ち着いた後アトリエで画面に向き合う。
疲れたら休み、気分が乗らなければ筆を置き自転車の遠乗り。
一日画面を前に描かない事も屡々あります。
(脇で読書等していますが)


その様な有様を作家としてどうだの、制作姿勢がどうのと宣う方もいます。
意見として伺いますが、私には正に「馬耳東風」

何が正しいかなど、私自身しか決める事は出来ない。
その責任は必ず結果となって自己に返ってくる。
そんな毎日を経て、今の立ち位置に居る。


多分この先も好きに描き、好きに人生を謳歌していく事でしょう。
その中で生まれる作品がどの様になっていくか。

この先も展示を通して、多くの方々に見守って頂ければ幸いと思います。
願わくば共に楽しい作品に共感をして頂けるよう願っています。


最後に産経新聞の社説「産経抄」の5月10日の覧。
東邦電力を発足させた松永安左エ門の一言。

「年を重ねただけでは人は老いない、理想を失う時に初めて老いがくる」

・・・
その言葉を借りるなら、私の過去には多くの老人がいる。
理想を失った多くの老人を尻目に、私は更なる高見に辿り付けるよう、展示を機に日々一歩一歩進む決意です。



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職業:
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